<AUTO ANTENNA TUNER (天竜) 実験中> 04-2-87MHz用のQRP CW TRXをいくつか作りましたが、ホームでの運用は問題ないとして、
移動用に簡単なアンテナを用意したいと思っていました。
世の中には「ミラクルアンテナ」という、1.5mほどのロッドアンテナで運用ができるものも
あるようですが、最も手軽に持ち運べるものはワイヤーアンテナです。
しかし、このアンテナを使用するにはアンテナカップラーが必要です。
簡単なQRP用のアンテナカップラーは、色々と製作記事がでていますが、オートチューン
タイプのものは見かけたことがありませんでした。
以前より、オートタイプのものを作って見たいと考えていたので、本当に自作でできるものか
実験してみました。

<基本コンセプト>
1)7~14MHz できれば28MHz位まで使用できるものとする。
2)QRP(1~3Wを想定)用とする。
3)移動での運用を前提として、電池駆動で消費電力を少なくする。
4)調整個所はできるだけ少なくする。

<設計仕様>
1)AUTO TUNERの基本回路はエレクラフト社のKXAT1をベースとした。
  従って、TUNERとしての基本性能はKXAT1と同等となるはず。
  以前、基板キットが販売されていたLDGエレクトロニクスの回路も参考にした。
2)マイコンは、ATMEL社のATTiny26Lを使用。
3)消費電力を少なくするために、KXAT1でも使用されているラッチタイプのリレーを使用。
 秋月で小型の4.5V駆動のラッチリレーを3個\100で売っており(通販にはない)これを手に
  入れていたので使用した。
4)SWR最適化のアルゴリズムは特別に考えず、全てのスイッチの組み合わせを試してみて
 その結果、SWR最小となる組み合わせに再設定する仕様とした。
  これにより、自動調整時は、必ず約3秒ほどかかるが、プログラムは非常にシンプルになった。

<マイコン機能>
1)電源ON、又は自動調整スタートスイッチ(リセット)により自動調整開始とする。
2)自動調整後、LEDにてSWRの状態を表示し、30秒後にLED OFF、消費電力モードに入る。
3)SWR最適化の方法は、上記4)の通り。

真ん中の3つの赤いコイルがカップラ用のコイル。
その横の3つのセラミックコンデンサがカップラ用のコンデンサ。
一番上の黒いコイルがSWR測定用のコイル。
マイコンはいつものようにS/Wがすぐ書き換えできるように端子を装着してある。

ラッチリレーが、面実装タイプなので取り急ぎの基板を作成した。
白い箱状のものがラッチリレー。
左側に、スタートスイッチとSWRを概略表示するLEDが4個並んでいる。

7MHz QRP CW TRX(銀閣)、旧式のSWR計を接続して実験中
アンテナには、4mのビニール線を軒先につるした。

<現在の状況>
実験基板の間違いや、S/Wを簡単にするためのの基板の変更などを実施して、一応色々なアンテナや負荷に対してSWRの最適化が行えるようになりました。
8mのビニール線をアンテナとして、IC706MK2と組み合わせた実験では、7~50MHzまでSWRが1.5以下に自動調整できていました。
課題はいくつかあります。
ラッチリレーの駆動する電流は、200mAとなっており、マイコンのポート電流の許容値をはるかに超えています。
しかし、切替駆動時間は僅か3mSであるので問題なしとしています。(まさに、アマチュア的)
これにより大幅に回路が簡単になっています。
基板は、急いで作ったので大きすぎです。もう少し実験を重ね、小さく纏め、ケースに入れたいと考えています。
消費電流ですが、自動調整中はリレーを駆動していてそれなりに電流が流れていると思いますが(デジタルテスターでは早すぎて読めません)、調整後はLEDが点灯している間がLED一個点灯の場合、全電流約8mA程度、LED OFFになり省電力モードに切り替わった後は、約4mAです。
マイコンのS/W上は、省電力に切り替えているのですが4mAは大きいと思っており、まだ、検討の余地がありそうです。
但し、電源SWを切っても調整状態は保持されるので問題はありませんが。
ラッチリレーの良いところです。

とりあえず、オートチューナーの自作はできそうな結果が得られました。
もう少し頑張って纏めたいと思います。出来上がったら、S/Wのほうも気まぐれ連載のサンプルとして掲載したいと思います。
’04-2-8

<ラッチリレーの簡単な解説>
ラッチリレーは、スイッチの切替駆動が、コイルにかかる電圧の極性を切り替えることによって行うようになっており、僅か3mSの間だけ電圧を加えれば切替られます。後は、電流は流しません。これにより、電池駆動が可能になるのです。
使用したマイコンは、各ポートを出力として使用したり、ハイインピーダンスにして回路から切り離したりすることができます。この機能を利用して、7つのリレーのコモンを共通として一個ずつリレーを切替制御しています。
これにより、マイコンのポートを大幅に少なくすることができ、20PINのATTiny26Lを使用することができました。